停電時の避難に役立つ蓄光テープとは?基礎知識と選定ポイントを解説

2023年5月17日
  • LinkedIn
  • Facebook
  • Twitter

災害時に安全かつ速やかに避難するには視界の確保が重要であり、蓄えた光を暗闇で放出する「蓄光テープ」が役立ちます。蓄光テープは電力を使わないため、停電時でも利用できる点が特長です。本記事では、蓄光テープの使い方や反射テープ・蛍光テープとの違い、選定のポイントなどを解説します。

停電時の避難に役立つ蓄光テープとは?基礎知識と選定ポイントを解説 停電時の避難に役立つ蓄光テープとは?基礎知識と選定ポイントを解説

災害時の安心・安全を確保するためには

近年、気候変動などの影響で大規模な自然災害が世界的に頻発しています。たとえば地球温暖化により平均気温が上昇することで、強い台風が増加し、豪雨の頻度が高まることなどが予測されています。また、日本では近い将来、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震などの発生も懸念されており、災害対策は喫緊の課題です。

災害時に事業者が行うべきは「視界の確保」

災害発生時には、身の安全を確保できる場所への避難が必要なケースが多々あります。特に、商業施設やオフィスビルなど不特定多数の人間が利用する施設では、多くの人を安全かつ速やかに避難させなければなりません。そこで、災害時に身の安全を守りつつ速やかな避難を実現するためには、視界の確保が重要です。 しかし、夜間や停電の発生時など、状況によっては視界の確保が十分にできないことがあります。そんなときに役立つアイテムが「蓄光テープ」です。以降では、蓄光テープについてご紹介します。

停電時に役立つ「蓄光テープ」とは?

蓄光テープとは、蛍光灯や太陽光などの光を蓄えて、暗闇で蓄えた光を放出することで避難の目印となる粘着テープのことです。防災用途に開発されており、発光時間は数十分のものから数時間、あるいは10時間以上のものまで製品によってさまざまです。一般家庭や企業の事務所、工場、店舗など幅広いシーンで活用されています。電力を使用しないため、停電発生時の避難に貢献できます。

「蓄光テープ」が視野確保アイテムとして有効な理由

現代では電気による光源確保が一般的であり、災害などにより停電が発生した際には蓄電池、非常電源、自家発電を利用した電力・光源確保が想定されます。しかし、火災や水害などによりこれらが機能しなくなるリスクがあり、さらに非常電源や蓄電池などから供給される電力は、別のライフライン確保のために優先的に使われることも珍しくありません。
そのため、電力を消費しない視野確保が重要であり、蓄光テープが効果を発揮します。

蓄光テープの規格

蓄光テープは、すべての製品が防災用品として活用できるわけではなく、産業標準化法に基づき制定されるJIS規格(JIS Z 9107)の条件を満たしたもののみが、高光度蓄光テープとして利用されています。
蓄光テープは輝度に応じたグレード分けがなされており、以下4種類があります。

蓄光テープと混合されやすい反射テープ・蛍光テープとの違い

蓄光テープのように「光るテープ」としては、反射テープや蛍光テープなどもあり、混同されることがよくあります。防災用に購入したはずのテープが非常時に使えなかったというケースもあるため、それぞれの違いを把握しておくことが大切です。 そこで以下では、蓄光・反射・蛍光それぞれについて解説します。

蓄光

蓄光とは、蓄えた光エネルギーを放出し自ら発光する性質のことです。周囲が暗くなると蓄えた光エネルギーを放つため、暗闇で光って見えます。 発光自体は強力ではなく、時間の経過とともに光エネルギーが低下していきますが、光源がなくとも一定時間視認が可能であるため、災害発生時における避難誘導の目印や防災用品への印付けとして役に立ちます。

反射

反射は、光源から受けた光が跳ね返る現象を指します。光源の光を反射することで、暗闇でも光源側から明るく輝いて見えます。暗闇では光源がないと視認できませんが、光を受けることで遠方からでも目立つため、道路標識や自転車に貼り付けるステッカーなど、交通安全・事故防止の目印として有効です。

蛍光

蛍光は、光や紫外線などを当てた際に発光する現象のことで、明かりのある場所で鮮やかに見えます。 暗闇での視認性はありませんが、色彩が鮮やかでよく目立つため、日中や照明のある環境での明示・注意喚起に有効です。

蓄光テープの使い方と特徴

蓄光・反射・蛍光には以上のような違いがあり、それぞれの特徴を踏まえ用途に応じて使い分けることが重要です。以下では、防災シーンにおける蓄光テープの使い方や注意点などをご紹介します。

使用方法

蓄光テープは、職場や施設内の避難経路を示す目的で使うことが多いため、階段や廊下などの避難ルートに貼り付けるのが効果的です。通路に矢印状にテープを貼り付けて誘導したり、障害物のある場所に貼り付けて注意を促したり、階段などの段差部分に貼り付けて転倒・転落を防止したりといった使い方ができます。 また、懐中電灯やヘルメットなどの防災用品に貼り付けることで、暗闇でもすぐに手に取れます。非常電源のスイッチやレバーなどに貼り付けることも効果的です。

寿命

蓄光テープは摩耗や変色などの大きな影響を受けなければ、一般に5~8年程度が寿命とされています。ただ、階段や通路など、普段から人の往来が多い場所では摩耗が激しく、粘着性も落ちやすいため、これよりも早いサイクルで貼り替えた方が良いでしょう。

使用する際の注意点

蓄光テープには蓄光顔料が含まれていますが、顔料は水に濡れると効果が落ちるため、屋外や水に濡れる可能性のある場所での使用には向きません。 また、蓄光テープは暗くなると発光し、時間の経過とともに発光が弱くなる性質であるため、昼間から夕方にかけて徐々に暗くなるような場所で使用すると、完全に暗くなった頃には発光レベルが落ちてしまいます。普段は照明で明るい屋内など、消灯時・停電時に一気に暗くなる場所で使うのがおすすめです。

蓄光テープ選定の3つのポイント

では、防災用途で蓄光テープを選ぶ際にはどのような点に気を付ければ良いのでしょうか。 以降では、3つのポイントを解説します。

防災用品として規格を満たしているか

前提として、防災用品としての規格を満たしているものを選ぶことが大切です。先述のように、蓄光テープはJIS規格に基づいてランク付けされており、この規格を満たしているものが防災用途に活用できます。 一方、JIS規格外の蓄光テープは安価ではあるものの、非常時に十分な明るさを発揮できない可能性があるため、防災用品として選定するのは避けるべきです。

耐久性に優れているか

耐久性の高さも選定ポイントの1つです。蓄光テープは床や階段など普段から人が行き来する場所に貼り付けることが多いため、蓄光顔料が落ちにくいものや粘着性が強いものなど長く利用できるものを選ぶべきです。

使用用途・環境に合った製品を選べているか

使用用途や環境に合った製品を選定することも重要です。たとえば、普段は非常に明るい場所に設置するのであればJIS規格のJBクラスでも間に合いますが、工場内の照明が当たりにくい個所などに設置する場合は、薄暗くても十分に光を蓄えられるJDクラスが適しています。 また、滑り止めのある製品やシール状の製品もあるため、貼り付ける場所に応じて最適な特徴や形状を持つものを選ぶことも大切です。 輝度が高いものほど価格は高価になる傾向がありますが、予算や使用用途、環境に応じて最適なものを選ぶ必要があります。

まとめ:災害対策として蓄光テープのご準備を!

今回は蓄光テープに関する基礎知識や選定ポイントなどを解説しました。 蓄光テープは電力を使用せず、蓄えた光を暗闇で放出するため、災害などで停電したときに人々が避難するのを助けるアイテムとして役に立ちます。蓄光テープに似たものとして反射テープや蛍光テープもありますが、暗転時に視認できるのは蓄光テープのみであり、暗闇での視界確保の目的としては蓄光テープが最適です。 また、蓄光テープは輝度に基づきランク付けされており、発光時間などに違いがあるため、使用用途や環境に適したものを選びましょう。最後に、これらのポイントを満たす蓄光テープをご紹介します。

高輝度蓄光テープ エルクライト™ JB.JC.JD

日東エルマテリアルの「エルクライト™ JB.JC.JD」は、防災用途に開発され、選定ポイントのすべてを満たしている高輝度蓄光テープです。 JIS規格に応じた3種類のグレード(JD、JC、JBクラス)があり、停電時・非常時の避難誘導や、段差や通路の視認性向上、レバーや機器類の明示など、防災に関するさまざまな用途に活用可能です。また、耐候性、耐摩耗性、耐薬品性などにすぐれ、高い耐久性を誇ります。 日東エルマテリアルでは、長年にわたり住環境事業の分野で安全・衛生・防災を中心とした各種製品の開発・提供の実績があり、お客様のご要望に応じた新製品の開発や、機能性加工品などを手掛けることができる強みもあります。 高輝度蓄光テープの導入にご関心のある事業者様は、日東エルマテリアルまでご相談ください。

蓄光テープについて問い合わせる

カタログ資料

スマートエルラインライト
スマートエルラインライト サービスカタログ
近年、環境問題への配慮やアウトドア人気、そして災害不安からエコカーに乗る人が増えてきています。 「スマートエルラインライト」は、そのようなエコカーから、停電時に住宅へ電気供給ができるようになるシステムです。 また、太陽光発電、発電機や蓄電池※2からも電源供給が可能になります。 導入コストを抑え、従来のV2Hをはじめとした充放電設備と比較し手軽に停電対策が可能です。
資料ダウンロード